第74回 国連総会におけるアメリカ合衆国ドナルド・トランプ大統領の演説 (日本語訳)

国連本部
ニューヨーク州、ニューヨーク
2019年9月24日
東部夏時間午前10時12分
日本語訳:織田哲司

大変ありがとうございます。議長、事務総長、すばらしい代表者のみなさま、大使のみなさま、そして世界のリーダーのみなさま。

この会議場を70年という歳月が流れていきました。それは豊かでまたドラマティックな歳月でありました。私が立っているこの場所で冷戦期の最中、世界は大統領や首長たちの声を聞きました。国家が産声を上げる姿も目にしました。革命の首謀者を目にしました。われわれを希望によって鼓舞してくれた聖人たち、われわれを情熱でかき立てた反逆者たち、われわれを勇気で奮い立たせてくれた英雄たちを目にしました。みな、プラン、プロポーザル、ビジョンそしてアイデアを分かち合うために世界でもっとも大きなこの舞台にいたのです。これまでに私たちと出会った人たちと同じように、われわれの時代は激しい競争、大きな危険、そして明白な選択を有した時代です。世界中そして歴史の中を分け隔てる根本的な分断線はまたもやはっきりと姿を現しています。それは、それは支配への渇望によって、自分は人を支配するよう運命づけられていると思い違いをさせられている人々と、支配するのは自分自身だけで十分だと思う人々や国々のあいだを走る分断線なのです。

今日私は、自由と独立、そしてなかでも自らの統治を誇りに思う国家の選挙で選ばれたリーダーとしてみなさんに話しかけるという、とてつもない光栄に浴しています。私が選挙で選ばれて以来、わが偉大な軍を完全に再建するために、2.5兆ドル(約270兆円)を支出した今、アメリカ合衆国はこれまでになく世界で最も強力な国家でもあります。できることならこの軍事力を決して使用することがないよう望むものです。

アメリカ人は知っています。ほかの人々が征服や支配を追い求める世界の中でわが国は富と力と精神において強くあらねばならないことを。だから、わが国はいまのわれわれを作ってきた伝統と習慣を力強く守るわけです。

愛するわが国と同様に、この会議場に代表を送っている各々の国は歴史と文化と伝統を大切にしてきました。それらは守り、祝福するに値するものですし、われわれに並外れた潜在力と強さを与えてくれるものです。 自由な世界はその国家の基盤を大切にしなければなりません。国家の基盤を消し去ったり置き換えたりしようなどと試みてはなりません。

この大きく、荘厳なる惑星をあまねく見渡したとき、真実はすぐに見つかります。もしもあなたがたが自由を欲するならば、あなたがたの国を誇りに思いなさい。もしもあなたが民主主義を欲するならば、あなた方の主権を大切にしなさい。そしてもしもあなた方が平和を欲するなら、祖国を愛しなさい。賢明なるリーダーはいつもその国民の善とその国を第一に考えます。

未来はグローバリストたちの手中にはありません。未来は愛国者にこそあります。未来は独立主権国家にあるのです。なぜならばこのような国家こそ自国民を守り、隣国を尊重し、そしてそれぞれの国を特別で唯一無二の存在にさせている違いというものに敬意を払うからです。

そのようなわけで、アメリカ合衆国においてわれわれはワクワクするような国家再生プログラムに乗り出しております。われわれが行うすべてのことにおいて、われわれは国民の夢と願望を後押しすることに集中しているのです。

成長を促すわれわれの政策のおかげで、わが国の国内失業者数はこの半世紀以上ものあいだで最低レベルを記録しています。税と規制を大幅に削減した結果、いま仕事は歴史的な割合で創出されています。ここ3年のうちに600万人ものアメリカ人が就業者名簿に仲間入りを果たしました。

先月のことですが、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人そしてアジア系アメリカ人の失業者数はこれまでになく低い割合となりました。われわれはわが国の膨大なエネルギーを管理しつつあり、わが国は今や世界の中で石油と天然ガスを産出するナンバー・ワンの国となっています。賃金は増え、収入は急上昇し、250万人ものアメリカ人はここ3年足らずの間に貧困から抜け出しています。

米軍の力を比類なきものへと再建するにつれて、パートナーの国々すべてが巨額の防衛費を公平に分担するよう強く求めておりますが、そのことがわれわれの同盟関係をも再活性化しつつあります。なぜならば、過去にはわが国がその負担を負ってきたからです。

国家の再建へ向けたわれわれのビジョンの中心には国家間の貿易を改革するという大掛かりなキャンペーンがあります。何十年もの間、国家間の貿易システムはたいへん不誠実なふるまいをする国によっていとも簡単に食い物にされてきました。仕事がアウトソーシングされるにつれて、中産階級の犠牲のもとにほんの一握りの人々だけが豊かになりました。

わが国ではその結果として、過去四半世紀以上もの間に420万もの製造業が失われ、15兆ドル(約125兆円)の貿易赤字が生じました。アメリカ合衆国はその由々しき経済上の不公正に終止符を打つべく断固たる行動をとりつつあります。われわれの目標はシンプルなことです。つまり、公平かつ対等なバランスの取れた貿易を求めているわけです。まっさらで希望に満ち、すべての国が賛成するアメリカ・メキシコ・カナダ協定をNAFTA(北米自由貿易協定)に置き換えるべくメキシコとカナダのパートナーと緊密に作業をしてきました。

明日、日本の安倍晋三首相とお目にかかります。ともに進み続けて、すばらしい貿易協定を作り上げます。 イギリスはEU(欧州連合)から離脱する準備をしておりますが、われわれはイギリスとこれまでにない新しい貿易協定を作り上げる心づもりがあることを明らかにしております。その協定によって、米英両国に対してとてつもない利益がもたらされるでしょう。そのためにボリス・ジョンソン首相と緊密に作業をしているところです。

貿易に関するわが国の新しいアプローチの中でこれまでと最も大きな違いは中国との関係に関わるものです。中国は2001年にWTO(世界貿易機関)への加入を認められました。当時のわが国のリーダーは、この決定により中国は自国経済の自由化を余儀なくされ、われわれが受け入れられない物品の供給、それは個人の資産に対しても法の支配に対してもですが、それを厳格に止めるであろうと主張しました。果たして20年後、この考え方は試練に直面し、完全に誤っていたことがわかりました。中国は約束した改革を行うことを拒否したのみならず、巨大な市場障壁に依存する経済モデルや巨額の国家補助金、為替操作、製品のダンピング、強制的な技術の移転、そして大規模な知的財産および貿易上の機密品の盗用を容認してきました。

ほんの一つだけ例を挙げますと、私は先日、ホワイトハウスでミクロン・テクノロジーというわが国のすばらしい企業のCEO(最高経営責任者)とお目にかかりました。ミクロン・テクノロジー社は数えきれないほど多くの電子機器で用いられているメモリー・チップを製造している会社です。ところが中国の国家が所有していると言われるある会社が、中国政府の五か年経済計画を推し進めるのを目的として87億ドル(約9600億円)にも達すると評価されるミクロン社の設計図を盗み出したのです。その中国企業はほどなくしてミクロン社とほとんど瓜二つの製品に対する特許を取得し、ミクロン社には中国での商品販売を禁じてしまいました。そしていま、われわれは裁判に訴え出ているところです。

WTOには大胆な変化が求められています。世界第二の経済を有する国家が、他社を犠牲にして制度を悪用するために自らを「発展途上国」であると宣言することなど許されていいはずがありません。

長年にわたり、この制度の濫用が許容され、目を背けられ、そして促されさえしてきました。グローバリズムは過去のリーダーたちに対して宗教的ともいえる幅の利かせ方をしていたため、彼らは自分自身の国の利益を考えないようになっていました。

しかしアメリカに関する限り、そのような日々は過ぎ去りました。このような不公正な慣習と対決すために、私は中国製品に対して5000億ドル(約55兆円)以上もの関税を課すことにしました。この関税の結果として、すでにサプライ・チェーンはアメリカや他国へ戻りつつありますし、何十億ドルものお金がわが国の国庫へ支払われているところです。

アメリカ国民は中国との関係においてバランスを回復させるために断固とした決意を固めています。米中両国に対して有益な同意が得られることでしょう。しかしはっきりと申し上げますが、私はアメリカ国民にとっての悪い取引を受け容れるつもりは毛頭ありません。

われわれの関係の安定化を図るために、香港での状況もまた注意深く監視しているところです。世界は、中国がイギリスとの間で交わされ、国連にも記録が残されている、その拘束力のある条約を尊重するようもっぱら期待しているわけです。その条約の下では、中国は香港の自由、法体系、そして民主的な生活様式を守ることにコミットするのです。中国がいかにして現在の状況に対処するのかを見れば、未来において中国が世界に対してどのような役割を果たすのかがはっきり分かることでしょう。われわれはみな偉大なリーダーとしての習近平主席に期待しております。

アメリカ合衆国はいかなる他国とも紛争を求めるものではありません。わが国はすべての国々とともに平和と協力、そして相互の利益を欲しております。しかし私はアメリカの利益を守ることにかけては決して譲ることはありません。

人々を大切にする国家に対する今日の最大の安全保障上の脅威の一つはイランにおける抑圧的な政権であります。イランの政権がなしてきた死と破壊の記録はわれわれみなが知るところです。イランは世界でナンバー・ワンのテロリズムへのスポンサーであるだけでなく、そのリーダーたちはシリアとイエメン両国での悲劇的な戦争に油を注いでいるのです。

同時にイラン政権は核兵器とそれを運搬する手段の開発へと盲進し、国家の富と未来を浪費しつつあります。このようなことが起こるのを決して許すわけにはいきません。

核兵器とミサイルへとひた走るイランをストップさせるため、われわれは恐ろしい核合意から脱退しました。なぜならば、それはほんのわずかな時間しか与えてくれませんし、重要な施設への査察を行うことはできず、また弾道ミサイルを対象にしていないからです。

われわれは脱退の後、イランに対して厳しい経済制裁を課しました。イランはその制裁から逃れようとして、挑発されたわけでもないのに激しい敵意をむき出しにしました。サウジアラビアの石油施設に対するイランによる最近の攻撃をうけて、われわれはイランの中央銀行と主権国家資産ファンドに対して最高レベルの制裁を課したばかりです。

すべての国家は行動する義務があります。責任ある政府ならば、血に飢えたイランに手を差し伸べるべきではありません。イランの脅迫的な振る舞いが続くかぎり、制裁が解除されることはないでしょう。むしろ制裁は強められるのです。イランのリーダーたちは誇りある国家をたんなるひとつの教訓譚へと変えてしまうでしょう。その教訓譚とは、リーダーが国民を捨て、個人の権力と富を求める聖なる戦いに乗り出したとき、何が起こるのかについての話です。

40年もの間、イランが自ら作り出した数々の問題に対してイランのリーダーたちが私たちみんなを非難したとき、世界は彼らに耳を傾けてきました。イランのリーダーたちは典礼でうたう歌のように「アメリカに死を」と口にしますし、ぞっとするような反ユダヤ主義に関わっています。昨年、イランの最高指導者は、「イスラエルは悪性腫瘍であり・・・除去され、根絶やしにされなければならない。それは可能だし、いずれそうなるだろう」と述べました。アメリカはそのような反ユダヤ主義に基づく憎悪を断じて許容するわけにはいきません。

狂信者たちは長い間、自らの失敗から目をそらせるためにイスラエルへの憎悪を利用してきました。しかしありがたいことに、中東のより広い地域ではある認識が広まりつつあります。それは、中東の国々は過激主義との戦いと経済の機会を広げるという共通の関心を分かち合っているということです。だからイスラエルと近隣諸国との間で十全かつ正常な関係を持つことがたいへん重要なのです。共通の関心と互いの敬意、そして宗教的な寛容さの上に打ち立てられた関係のみがより良い未来を創造するのです。

イランの国民は、国民のお金をかすみ取っては国内外での大虐殺に資金投下する政府ではなく、貧困を減らし、腐敗を止めにし、仕事を増やすことに気配りする政府をもつにふさわしい人々です。

40年という失敗の時代の後にイランのリーダーたちは一歩前へ踏み出し、他国への脅迫を止め、そして自国を建設することに注力するべき時なのです。イランのリーダーたちがようやくイランの国民を第一に考えるときなのです。

アメリカは、混じり気のない心で平和と尊敬を追い求めるすべての人々と友情を温める用意ができています。

今日、アメリカの親密な友人たちの多くはかつて、われわれの深刻な敵でありました。アメリカ合衆国は、永遠の敵がいるなんて思ってはいません。われわれは敵ではなくパートナーを求めています。われわれは知っています。いかなる人も戦争をすることができるが、平和を選ぶことができるのはもっとも勇気ある人々だけであることを。

同じ理由により、われわれは朝鮮半島に関して大胆な外交を追求してきました。金正恩委員長には私が心から信じていることを伝えてきました。すなわち、イランと同様に彼の国は途方もなく大きく、しかも未開発の潜在力に満ちている。しかしその将来性を実現させるには北朝鮮は非核化しなければならないと。

世界のあちこちでアメリカのメッセージは明確です。つまりアメリカの目標は永遠であり、アメリカの目標は調和であり、アメリカの目標は果てしない戦争-終わりを決して知らない戦争を受け容れるものではありません。

このような目標を心にとめながら、私の政権はアフガニスタンにいっそう明るい未来への希望を追い求めています。不幸なことに、タリバンは野蛮な攻撃を継続するという選択をしています。ですからわれわれはアフガニスタンのパートナーとの連携のもと、テロリズムを根絶させるための作業を続けていきます。平和を現実のものとするために仕事を止めるわけにはいきません。

ここ西半球では、われわれは地域全体の安定と機会を確かなものにするためにパートナーと手を携えています。その使命の中で最も重要な取り組みのひとつは不法移民です。というのも、不法移民は繁栄を蝕み、社会をバラバラに引き裂き、無慈悲な犯罪カルテルに力を与えるからです。

大量の不法移民はその排出国々や人材が枯渇した国々などにとって不公正で危険で受け入れがたいものです。そのような国々はすぐに人材が枯渇しますが、それでもその国の若者は面倒を見てもらえることはありませんし、人的資本は浪費されるままなのです。受け入れ側の国々は、責任を持って受け入れられる以上の移民でたいへんな重荷を負わされます。そして移民自身は悪の密入国斡旋業者によって搾取され、暴力を受け、虐待されるのです。アメリカの国境へ向けて南から旅をしてきた女性の3分の1近くはその途中で性的な暴力の被害に遭っています。それでもここアメリカや世界の至るところで人間の密入国に手を貸す過激な活動家や非政府組織という手軽に始められる産業が増えつつあるのです。このようなグループのおかげで不法移民が助長され、国境というものが意味をなさなくなっていくわけです。

今日、私は社会正義の衣をまとって国境をなきものにしようとする活動家たちにメッセージをもってきました。あなた方の考え方は正しくない。あなた方の考え方は残虐かつ邪悪である。あなた方は罪のない男女や子供たちを餌食にする犯罪組織に力を与えている。あなた方は無数の罪なき人々の生活や福利よりも前にあなた方自身の誤った美徳を置いている。あなた方が国境を蝕むとき、あなた方は人権と人間の尊厳を蝕んでいるのだ。

今日ここにおられる多くの国々は野放しの移民という問題に取り組んでおられます。みなさん各々はみなさんの国境を守るという疑いようのない権利を有しておりますし、もちろんわが国も然りです。今日、われわれは決意しなければなりません。善のために密入国を終わらせ、人身売買を終わらせ、これらの犯罪ネットワークを潰しにかかるためにともに手を携えるべく決意しなければなりません。

わが国の人々に対して嘘偽りなくお話しします。われわれはメキシコ、カナダ、グァテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、そしてパナマという地域の友人とともに緊密に作業をし、国境の保全を支え、人々の安全と繁栄を確かなものにしようとしています。メキシコのロペス・オブラドル大統領は多大な協力をして下さり、現在、わが国の南側の国境に27000人からなる部隊を配置して下さったことに感謝を申し上げたく思います。メキシコはわれわれに敬意を払って下さりましたし、われわれもまたメキシコに敬意を払います。

アメリカ合衆国は不法移民の流入を止めるためにこれまでにまったくなかった行動を取ってきました。わが国の国境を不法に越えようと考えているいかなる人々もこのことばをお聞き下さい。密入国斡旋業者にお金を払わないで下さい。密入国手引き人にお金を払わないで下さい。あなた方自身を危険にさらさないで下さい。あなた方のお子さんたちを危険にさらさないで下さい。わが国でそんなことをしようとしてもあなた方は入国を許可されないからです。すぐさまあなた方の祖国へ送り返されます。わが国の中へと解放されることはありません。私が大統領である限り、われわれはアメリカの法律を適用し、アメリカの国境を守ります。

西半球のすべての国々にとって、われわれの目標は人々がそれぞれの国家の明るい未来に対して投資するのを手助けすることです。われわれの地域はこのようなとてつもない将来性に満ちています。みんなにとっての実現を待ちわびる夢と、そして国家の歩むべき道と。それらは追求されることを待っているのです。

西半球のいたるところに、何百万という懸命に働く愛国的な若者がいます。彼らは国を建設し、刷新し、成し遂げることに熱心な若者です。しかし、もし若い世代の人々が他国での生活を求めて祖国を捨て去ったら、彼らの国は潜在的な力を発揮するには至りません。自由と平和の中でこの地域のすべての国々が栄え、人々が成功してほしいと思っています。

そのような使命の中でわれわれは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラの人々のような残虐な抑圧の下で暮らしている西半球の人々もまた支援することに関わっております。

国連人権理事会から出された最近の報告書によれば、ベネズエラの女性は食料を求めて一日に10時間も列に並んでいました。15000人を超える人々が政治犯として拘留されています。今日の暗殺グループは司法管轄外の殺人によって何千もの人々の命を奪っています。

独裁者のマドゥーロ大統領はキューバの操り人形です。キューバのボディーガードに守られながら、キューバがベネズエラの石油より生じた富を簒奪し、腐敗した共産党支配を支えているあいだ、彼自身の国民から身を隠しているのです。

前回私がこの会議場で演説して以来、国連とわれわれのパートナーは歴史的な55カ国からなる連合を作り、ベネズエラの正統な政府を承認しています。

この悪夢に苦しめられているベネズエラの人々、アメリカ大陸のすべての国々はあなた方の後ろで手を取り合っています。アメリカ合衆国は膨大な量の人道支援物資を用意しています。それは届けられるのを待っています。われわれはベネズエラの状況を詳しく見つめています。民主主義が回復され、ベネズエラが自由になり、それが西半球全体に広がる日を待っています。

わが国が直面するもっとも恐ろしい問題のひとつに社会主義という妖怪があります。社会主義は国を崩壊させ、社会を破壊します。

ベネズエラでの出来事を見れば、社会主義と共産主義は正義とは関係のないものであり、平等とは関係のないものであり、貧しい人々を救済することにも関係がないものであり、そしておそらく国家の善政にも関係がないものであることがわかります。社会主義と共産主義が関心をもっているただひとつのこと、それは支配者層のための権力、それだけです。

私がわが国において届けてきたメッセージを本日、世界に向けて繰り返します。それは、アメリカは決して社会主義国家にはならないということです。

前世紀には社会主義と共産主義は1億人もの人々の命を奪いました。悲しいことに、ベネズエラを見ていると、この国では弔いの鐘は鳴り続けています。このような全体主義的なイデオロギーは近代のテクノロジーと結びついて、新しくて憂慮すべき形態の抑圧と支配を行う力を持ちます。

この理由のため、アメリカ合衆国は外国の技術と投資をより詳しく検査するために、そしてわが国のデータと安全保障を保護するための対策を取りつつあります。ここにおられるあらゆる国々が同じことをされるよう強くお勧めします。

自由と民主主義は国の外側でも内側でも絶えず守られなければなりません。われわれはいつでも服従と管理を欲する人々に懐疑心を抱かなければなりません。自由な国々の中でさえ、警告を発するサインと自由への新たな挑戦を目にします。

少数のソーシャル・メディアプラットホームは、われわれが見てよいもの、われわれが口にしてよいことに対して計り知れない力を獲得しつつあります。永続的な政治階層は人々の意思に対してあからさまに軽蔑的で、はねつけるようであり、ふてぶてしいものです。顔の見えない官僚政治は秘密裏に仕事をし、民主主義の統治を弱体化させます。メディアとアカデミックな組織はわれわれの歴史、伝統、価値に対してあからさまな攻撃を加えます。

わが国においては私の政権はソーシャル・メディアを運営する会社に対し次のことを明確にしてきました。すなわちわれわれは自由な言論を行う権利を支持するということです。自由な社会は、ソーシャル・メディアの巨人が人々の声を黙らせることを許しませんし、自由な人々は、黙らせること、抑圧すること、発言を撤回させること、あるいは隣人をブラックリストに掲載するために協力を求められることは決してあってはなりません。

われわれはアメリカの価値を守るので、すべての人々が尊厳をもって生きる権利を支持します。このため、私の政権は同性愛の犯罪化を止めるよう他国とともに作業をしていますし、性的嗜好にもとづいて個人に罰を与えたり、投獄したり、処刑したりする国々に生きるLGBTQの人々と団結します。

われわれはまた社会における女性の役割を擁護しています。女性に力を与える国家ははるかに豊かで安全ですし、政治的にははるかに安定しています。したがって女性の経済的発展を追求することは国家の繁栄にとってたいへん重要であるばかりでなく、国家の安全保障にとっても不可欠なのです。このような原則に則り、私の政権では女性の全地球規模での発展と繁栄のためのイニシアチブを立ち上げました。女性の全地球規模での発展と繁栄のためのイニシアチブは女性に経済的な力を与えることをめざした最初の政府一体となったアプローチで、全地球の女性が財産を所有し相続したり、男性と同じ業種で働いたり、自由に移動したり、信用と制度を利用することのできる法的な権利を有することを確かなものとできるよう取り組んでいます。

昨日、私はリーダーのみなさまをお招きして、宗教指導者たちと宗教の自由もまた守るというわが国の揺るぎない取り組みについてディスカッションさせていただきました。この基本的な権利は世界のいたるところでますます危機にさらされています。信じられないことですが、世界の人口の80パーセントの人々が、宗教上の自由が深刻な危機にさらされていたり、あるいはそれが完全に奪われていたりする国々で生活しているのです。アメリカ人は、信仰と宗教の自由を保護し促進するためのたゆまない努力を続けてまいります。われわれは宗教の自由を何に代えても求め、支持します。

アメリカ人はまた幼い命の保護にも邁進してまいります。多くの国連加盟国のプロジェクトにより、希望に応じて納税者の基金による堕胎を行う全世界的な権利を主張する試みがなされています。グローバリストの官僚たちは幼い命を守りたいと願う国家の主権を攻撃するのに忙しくて、このことにはまったく関心を向けません。今日ここにおられる多くの国々と同様に、わが国はすべての子供たち、生まれていようともまだ生まれていなくても、すべての子供たちは神からの聖なる贈り物であると信じております。

アメリカ合衆国は、国際的な機関や組織がわが国の自衛権を含む市民の権利を踏みにじることを許す状況にはまったくありません。ですから今年、私はわが国が国連武器貿易条約を批准することは断じてないと宣言したわけです。なぜならば、この条約は法律に従っているアメリカ国民の自由を脅かすものだからです。アメリカは武器を保持し携帯することに対するわが国憲法上の権利をつねに支持していきます。アメリカは憲法修正第2条をつねに支持していきます。

アメリカが今日守っている核心的な権利と価値はわが国の建国文書の中に書き記されています。われわれの建国の父たちは、他者に対する力と支配の行使を信じる人々が常に存在するであろうことを理解していました。暴政はさまざまな名称や理論のもとでなされますが、支配への欲求にもとづいていることは変わりありません。暴政は多くの人々の利益ではなく少数の特権を守るのです。

わが国の礎を築いた人々は、このような危険な衝動を抑え込むようデザインされた制度をわれわれに与えてくれました。わが国の礎を築いた人々は国家の運命にもっとも身を投じる人々にわが国の力を委ねんとしたのです。そのような人々とは、誇りに満ち、独立心に燃える人々です。

国家の真の善政とは、国家を愛する人々によってしか実現されえないものです。つまり、その国の歴史に根差し、その国の文化に育まれ、その国の価値を大切にし、その国の人々に寄り添い、そしてその国の未来は作るも失うも自分たち次第であることを知っている市民のことです。愛国者は愛国者でしかできない方法で国とその運命を見つめます。

愛国者の意思と献身があってはじめて、自由は守られ、主権は揺るぎのないものとなり、民主主義は維持され、偉大さは実現されるのです。抑圧に抵抗する強さ、遺産を築く思いつき、友情を求める善意、そして平和をつかみ取ろうとする勇気の中に愛国者の気概が見出されるのです。わが国への愛がすべての国にとってより良い世界を作り出すのです。

今日この会議場にご臨席のリーダーのみなさま、決意さえすれば一人の人間が持つことのできるもっともやりがいのある使命を、だれでも行うことができるもっとも大きな貢献を、ともに果たそうではありませんか。あなた方の国々の精神を高めましょう、文化を大切にしましょう、歴史に敬意を払いましょう、国民を宝としましょう、国を強くしましょう、繁栄させましょう、道義性を高めましょう、あなた方の国民の尊厳に敬意を払いましょう。そうすれば、あなた方が手の届かないものはなにもなくなるでしょう。

私たちの国々が偉大になれば未来はより輝くでしょう、私たちの国民がより幸せになれば、私たちのパートナーシップはより強くなるでしょう。

神の助けを借りながら、われわれは自由の敵を追放し、尊厳に対する抑圧を克服していきましょう。生活の新しい基準を設け、人間が到達できる新しい高みへと達していきましょう。真実を再発見し、昔からの神秘を解明し、ワクワクさせるような大発見を行ないましょう。そしてわれわれは、国家間におけるこれまで以上に多くの美しい友情とより多くの調和を見出していきましょう。

リーダーのみなさま、平和と進歩への道、自由と正義、そして全人類にとってのより良い世界は私たち自身の国々から始まるのです。

ありがとうございました。神のご加護がありますように。世界の国々に神のご加護がありますように。そしてアメリカに神のご加護がありますように。どうもありがとうございました。

(織田哲司訳)


*原文はホワイトハウスが発表した原稿を用いた。
Remarks by President Trump to the 74th Session of the United Nations General Assembly